社会のあらゆる側面で国際化が進む中、主体的に国際社会で活躍できる「グローバル人材」が求められています。
教育現場でも、社会の国際化に合わせて「グローバル入試」が急増中。本記事では、英語学習に力を入れている子どもたち向けの「新しいグローバル入試」について解説します。
グローバル入試とは
グローバル入試とは、入学後にインターナショナルプログラムに取り組むことを希望する生徒や将来国際的に活躍することを目指す生徒を対象に実施する入学試験を指します。
ただ学校によって内容は異なるため、事前に入試内容を確認する必要があります。
グローバル入試が急増している背景
グローバル入試急増の背景には、社会全体の国際化だけでなく、2020年に行われた文部科学省による教育改革が挙げられます。教育改革の概要や導入背景を理解しておくと、学校を選択する際に具体的に見るべき要素がわかりやすくなるでしょう。
新学習指導要項の制定
2020年に文部科学省が制定した新学習指導要項によって、日本の学校教育が大きく変わりました。
新学習指導要項の制定以前、重要視されていたのは、これまで学んだことを子どもたちがきちんと理解しているか(知識・技能)どうか。しかし、新学習指導要項の制定後は知識や技能を習得した上で、「自分で考えて、表現し、判断すること」が重要視されるようになりました。
具体的には、小学校3・4年生で「外国語活動」が始動。小学校5・6年生では「英語」が教科化されています。授業内では、発見学習や問題解決学習、体験学習、調査学習などが取り入れられるようになりました。
世の中の急速な国際化やIT化にともない、社会で必要とされる人材が変化。時代に合わせて世の中全体でグローバル人材の育成に励んでいるのです。
大学入試制度の変更
2020年の教育改革によって、大学入試制度が変更されたこともグローバル入試が急増している背景として挙げられます。
これまでは、「大学入試センター試験」はマークシート式でリーディングとリスニングのみ。一方で、教育改革によって英語科目の試験では、スピーキング・リスニング・ライティング・リーディングの4技能が評価されるようになりました。
また、民間資格や検定試験を活用した多面的・総合的な評価が取られるようになったのも事実。このように大学入試制度が大幅に変更されたことにより、各大学の入試制度だけでなく、中高一貫校の入試制度もグローバル化しています。
中高一貫校のグローバル入試事情とは?
大学だけでなく、中高一貫校でも導入が始まっているグローバル入試。各学校の入試事情・特徴を詳しく解説します。
グローバル入試を実施する学校が増加する現代
2023年度、首都圏に位置する中学校の帰国生入試受験者は約6,500人。10年前と比較すると2倍近く増加しました。
帰国生入試受験者が増えた背景には、帰国生を受け入れる学校が増加したことや英語教育・グローバル教育に力を入れる学校が年々増加していることが理由として挙げられます。
結果、多くの学校で帰国生入試を複数回実施したり、試験科目で英語を重視したり、グローバル入試に対応する学校が増えているのです。
【学校別ランキング】グローバル校・海外大学への進学実績
株式会社インターエデュ・ドットコムが発表した2022年の東大・京大・難関大学合格者ランキングを見ると、グローバル校・海外大学への進学実績がランキング形式でわかります。
順位 | 学校名 | 所在地 | 区分 | 合格者数(昨年と比較) | 現役合格率 |
1 | 広尾学園高等学校 | 東京都 | 共学 | 184名(180名) | 64.98% |
2 | 三田国際学園高等学校 | 東京都 | 共学 | 99名(88名) | 34.11% |
3 | 茗溪学園中学校高等学校 | 茨城県 | 共学 | 91名(91名) | 33.83% |
4 | 東京都立国際高等学校 | 東京都 | 共学 | 73名(72名) | 30.38% |
5 | AICJ高等学校 | 広島県 | 42名(27名) | 22.69% | |
6 | 光泉カトリック高等学校 | 滋賀県 | 共学 | 33名(33名) | 11.46% |
7 | 渋谷教育学園渋谷高等学校 | 東京都 | 共学 | 30名(30名) | 14.49% |
8 | 加藤学園暁秀高等学校 | 静岡県 | 共学 | 28名(28名) | 18.18% |
9 | 関東国際高等学校 | 東京都 | 共学 | 25名(25名) | 7% |
10 | 茨城高等学校 | 茨城県 | 共学 | 20名(-名) | – |
1位にランクインしている広尾学園高等学校は、中学・高校ともに海外名門大学への進学を目指せる「インターナショナルコース」を設置しています。
インターナショナルコースはレベル別に2種類。すでに英語力が十分にある子どもたち向けの「インターナショナルコースアドバンストグループ」とこれから英語力を身につけたい子どもたち向けの「インターナショナルコーススタンダードグループ」があります。
2位にランクインしている三田国際学園高等学校では、一人ひとりの目標に応じて、海外大学進学を視野に入れた検定サポートを講師が行います。TOEFLや英検サポートはもちろん、International Teacherによる英語講座やエッセイ指導がある点も海外大学進学に強い理由のひとつです。
3位にランクインしている茗溪学園中学校高等学校は、英語の授業は全て外国人教員が担当。ディスカッション・エッセイライティング・リーディング・プレゼンテーションなどを行い、総合的な英語力強化を図っています。
このように各学校では、海外大学進学に向けてさまざまな英語教育を行っています。海外大学への進学を検討されている方は、海外大学進学率だけでなく、英語教育の特徴も把握しておくといいですね。
参考:inter-edu. 速報!2022年 東大・京大・難関大学合格者ランキング
【総合ランキング】進学実績以外も含めた学校別ランキング
Edu.torでも、グローバル教育指標となる「グローバル環境・多様性」「英語教育」「先進的教育」「課外活動(フィールドワーク)」「進学・実績」全てのカテゴリーを総合したランキングを作成しています。気になる上位校は、こちらです(2023年5月時点)。学校側の進化、変化も大きい時期ですので、グローバル校を検討されている方は、こまめにチェックをしたり学校説明会に参加してみると良いですね。
まとめ
本記事では、英語学習に力を入れている子どもたちのために導入された「新しいグローバル入試」について解説しました。
現代社会のあらゆる面で進むグローバル化。そのためグローバル教育と言ってもさまざまな選択肢があります。グローバル教育を選択肢のひとつとしてお考えの方は、各学校の教育制度や入試制度、海外大学進学率を把握し、子どもの個性に合った選択ができるといいですね。
グローバル教育に力を入れた学校選択に関して、さらに詳しく知りたい方はEdu.torチューターにもご相談可能です。