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【イェール大学の成田悠輔先生セミナーより②】教育に意味はなく、 ゲームには意味がある? 親が子どもにできること!

Edu.tor主催、イェール大学の成田悠輔先生によるオンラインセミナー『イェール大学准教授成田氏が語る。エリート校、偏差値による学校選びの行く末は?~日米教育の比較から「子どもの教育、学校選択」の時に考えるべきこと。with Edu.torチューター』から、今回は質疑応答の内容をQ&A形式でお届けします。【成田先生セミナー記事①はこちら】【成田先生セミナー記事③はこちら

Q.偏差値やエリート校という理由で学校を選ばないなら、何を基準にすると良いと思いますか?

A. 一番重要なのは「ビビッとくるか」とか(笑)、「運命の出会いをするか」みたいな部分だと思います。理想的には、こういう質問をしなくても良い状態、つまり「ここしかない」というような学校や教育が見つかったとしたら、それがいいんじゃないかと思っています。

効き目があろうがなかろうが、有名だろうがなかろうが、エリート校であろうがなかろうが、「自分はここに行くしかない」と思えるような学校が見つかったらそれが理想ですよね。

 

Q.ビビッとくる学校が見つからないとしたら、どうでしょうか?

A. その場合は、とりあえず「偏差値とか看板」で選ぶのも悪くないと思います。教育者としてこのように言うのはいかがなものかとは思うのですが、教育って究極的にはそんなに意味がないんじゃないか、というより、そうであってほしいという気がしています。学校とか教育って、いろんな人がいて、それぞれ背景が違い、求めていることや目指しているものが違いますよね。しかしある種、無理やり箱に当てはめている部分があります。

ですので、教育そのものが最終的に重要なのではなく、その枠が大切で、さらにその枠を超えて羽ばたいていく「個人の熱量」があくまでも重要だと考えています。

そういう意味でいうと、教育は副次的なものでしかなく、今の時点で何をやればいいのか「はっきりしていない人たち」にとりあえず「居場所や保険や安心感」を与えてくれるのが役割なのだと思います。その点で「偏差値や看板」で選んでも間違いはないと思います。

もちろん、一番重要な判断基準は「自分の熱量」ですが、それがないなら人の基準に乗っかっておいて、自分の中から熱が出てくるのを待つというのがいいのではないでしょうか。

 

Q.中学受験ぐらいの年齢になると、どういう教育が良いでしょうか?

A. 熱量がある子はそれでいいですが、こういう時代なので、ちょこっとレールから外れてもどうにでもなるのではないかと考えています。親から見てごくごく普通の教育のレールの上に乗っていないようなことでも、子どもがやりたいと言うならちょっとやらせみればいいと思っています。

10代の子はあっという間に気が変わることもありますし、1年ぐらいで別人のようになることもありますよね。それで後悔したら元のレールに戻ればいいのではないでしょうか。2、3年ぐらいまでは人生から離脱してもほとんど問題ないのではないかと思っています。

僕自身10代の頃に5年間ぐらい社会離脱していて、生身の人間と2カ月ぐらい話さないこともありました。それでも一応生きていけているので、大丈夫なのではないかなと(笑)。

 

Q.ゲームやレゴなどには熱中しますが、他にも目を向けさせるほうがいいでしょうか?

A. 本人に任せれば良いのではないでしょうか。僕たち大人はどこまでいっても狭いし、本当に多様な経験はなかなかできていないと思います。例えば人より30%余分に経験をしているとしても誤差でしかないでしょう。そのような大人がアドバイスすることは、間違っている可能性があると考えています。

偏っているけれども、子どもが「1つのことに熱中」しているのは良いことです。重要なのは、親からするとヤバいのではないかというものに熱中しているとしても、そのほうが有望な可能性が高いというところです。

30代以上の人は、子どもがゲームをやっているとヤバいと感じる人が多いと思いますが、これからの社会や経済は、ほとんどゲームのようになっていくという予想ができます。ここから数十年で、生身で取引する経済ばかりではなく、仮想の世界でアバター同士で活動する経済圏のほうも大きくなるのはほぼ間違いないです。ですので、ゲームばかりやってる子たちは、今後生まれる経済圏の最初の住人になれる可能性が十分にあります。

実際に最近では、「PLAY TO EARN」というゲームをプレイするだけで、お小遣いを稼げてベーシックインカムみたいに機能するようなことも起きてきているぐらいです。親の固定観念に基づいて、子どもの熱中を切る方がはるかに危ないと思っています。

注意しないといけないのは、20年ぐらい経つと社会とか経済の仕組みが変わっているので、今の30代の感覚に基づいて小学生にアドバイスをすると、高確率で間違っているというところです。むしろ、良い方向というより悪い方向に導いてしまう可能性が高いので、「よく分からないものに熱中」しているとしたら、「放置」が良いのではないでしょうか。

 

偏差値や知名度による学校選びではなく、子ども本人の持つ熱量や熱中を重んじた選択をしてあげたい。とはいえ目の前でゲームをし続ける子を放置するのは親として勇気がいるよね、とセミナー後も関係者で引き続き盛り上がったテーマでした。学校選びや教育には正解や王道なし! ですね。(Edu.torセミナー担当者)

 

構成・文/小川のぞみEdu.tor編集部

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