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【開智日本橋学園】国際バカロレアと日本の教育の良さを織り交ぜた教育で、主体的な学びができる学校

年々注目を集め、人気校となっている「開智日本橋学園」。グローバル教育について、生徒の海外大学への進学について、Edu.torスタッフが気になる点を聞いてきました。DPをはじめ、どんなカリキュラムがあるかから、どんな先生や生徒がいるかまで、学校の雰囲気もインタビュー。受験をお考えのご家庭にぜひ読んでいただきたい記事です。

 

―グローバル教育やグローバル人材の育成について、どのように考えていますか?

大切なのは「生徒が自分で物事を考えて、判断して、行動する」。そういった力が全ての軸になると考えています。軸がなければ「グローバルな問題について何かしよう」という気持ちも起こらないのではないでしょうか。問題意識も持てないかもしれません。さらには様々な人と接した場合に、相手の言っていることが理解できないこともあるでしょう。

社会や人を理解するためには、「自分の軸が何かを考えること」からはじめて行くと良いと思います。自ら主体的に考えて判断し、将来的には行動に移せるようなマインドセットを育んでいく……これが全ての基盤であると考えています。

また国内に関わらず、国外コミュニティの人たちも含めた視野を広げていくということが、自分で物事を考える上で非常に良い材料になるので、そこは意識しています。

例えば本校は、意識的に教師全体の30%程度を外国籍もしくは日本人のバイリンガルのティーチャーとしています。それだけでも、生徒たちは何かを学ぶときに自然に視野が広がっていくんです。

 

―生徒の視野が広がったと感じた、具体的なエピソードを教えてください

ある英語の先生は中1の授業で、自分の学校や社会を題材に外国人に自己紹介をしようという課題を設けました。実際にその先生は、インドの学校の生徒とオンラインで繋げて、生徒たちに自己紹介をしてもらったんです。

また、ある先生は、日本の大学院でグローバルな社会問題に関心のある友人がいることを活かしてくれました。アフリカの「ボゴ・ハラム(ナイジェリアにおける過激なテロ組織といわれている)」をなくしたいと考えている友人で、国際的な問題をどう解決するかという議論をする授業に来てもらったのです。公民で人権問題を国際的にリアルに考えることができました。

外国籍やバイリンガルのティーチャーがいることで、普通の授業の中でもこういった付加価値が高まると思っています。生徒たちが将来を考える際に、大きな視点で考えられるようになり、選択の幅が広がるのではないかと思っています。

 

―どのような先生が多いですか?

外国籍や日本人バイリンガルティーチャーの割合が多いため、職員室の中でも普通に英語が飛び交っています。要職にも外国籍ティーチャーがいますので、生徒も英語で頼まないといけなくなります。廊下で先生に英語で話しかけられることも普通です。そして、その普通がグローバルという意味でも大きいと思っています。

また、先生たちは目標に向かって、良さそうだというものがあれば「まずはやってみよう」というスタンスがあります。この考え方を可能にしているのは、国際バカロレアの教育だと思っています。何かのスキルや考え方を身につけさせたたいときに、「こんな領域を学ばせると良いのではないか」という指導も先生自身が考える仕組みになっています。先生たちも自由に発想できるため、プラットホームとして本校にバカロレアがあるということも大きいと考えています。

 

―生徒たちに、6年間で大きな変化は見られますか?

本校は、元は日本橋女学館という学校であり、100年以上の由緒ある、東京で初めての女子校です。それが9年前に共学化して誕生しました。卒業生はまだ2期生までとなるため、限られた生徒数の中で話すことになりますが、本校だからこそ生徒が変容したというケースが多くあると実感しています。

例えば、入学時、英語は未学習の2人の生徒がいたのですが、最終的にオーストラリアの大学に奨学金付きで進学しました。2人とも当校に入学した際は海外の大学に学びに行くなんて、親も含めて想定していなかったようです。しかしながら、自分で選択して海外に行くと決めました。帰国生ではない生徒たちが海外に行くと決断したことは、6年間で過ごす中での大きな変化だと思います。現在も、海外大学を目指す生徒はもちろんいますし、少なくとも留学を見据えている生徒はかなり多いです。

 

―その生徒たちが、ご本人も親も想像もしていなかった海外大学への進学を選択したのはなぜですか?

教員で海外の大学に行っていた先生が多いということもあると思います。また、国際バカロレアの教育は、常に批判的な視点で問題を解かなくてはならないと学んでおり、自分の選択が本当にこの選択で良いのかと常に考えていきます。課題感を持って考え続けていくと、国内の大学に学びたい学問はなかった。だからこその選択だったようです。

本校には、海外のアドミッションオフィサーも多く来ますし、海外大学にフォーカスした説明会もあります。そういった話を聞けば、海外大学が身近に感じられるでしょう。また、私はボランティアで「留学フェローシップ」というNPO法人にも関わっています。そのNPOの学生たちは、海外の大学に通っており、高校生で海外大学に行きたい人をサポートしています。年2回、説明会に来てくれるため、こちらもきっかけになっていると思います。

 

―MYP/DPコースは、どんなカリキュラムとなっていますか?

MYPプログラムとDPプログラムを持っています。これまで1学年6クラスのうち、2クラスがMYPコースでした。2期生は48名中13名がDPコースに進んでいます。3期生でDPに進んだ生徒は19名で、4期生も19名です。MYPコースの半分弱がDPコースに行っています。昨年から中1からの全6クラスがMYPコースとなりました。

MYPプログラムまでは、そこまで知識がなくても通用する部分がありますが、DPコースの論文記述などについては、かなりの知識が必要となります。そうでなければ論文に肉付けをしていくことができません。そのため、ある程度の基礎的な知識学習も重要となってきます。日本の中学受験で知識を詰め込み、MYPプログラムで批判的な視点や考え方、自分の意見を言うことを学習できればスムーズだともいえます。知識と応用の学びを組み合わせる学校の腕の見せどころかもしれません。

※カリキュラムについて詳しくはHPへ

 

 ―入学される帰国生の英語力はどのくらいですか?

英検準1級前後の生徒が20から25名程度います。1クラスがGLCクラスになっています。担任も外国籍で、英語で実施している授業は、英語、社会、美術、技術、HRなど、約半数です。

行事は全クラス一緒です。どのクラスも数学と英語は習熟度で分けられています。現在は、LCクラスが4クラス、DLCクラスとGLCクラスが各1クラスです。DLCクラスは英語が未履修で入学してきますが、GLCクラスとDLCクラスは習熟度でクラス分けしています。

国際バカロレアでは、英語レベルはフェーズ1から5と決まっています。年に2回TOEFLテストを行い、客観的に生徒の所属するフェーズを判断しています。中1のはじめでGLCがフェーズ4、DLCがフェーズ1が通常で、そこからフェースが上がってきます。

 ※カリキュラムについて詳しくはHPへ

 

―それだけ英語力が伸びるのはなぜですか?

担任が外国籍ティーチャーか日本人バイリンガルティーチャーであることも大きいと思います。クラスによっては英語でHRを行いますし、英語の授業は中1で週8時間あり、たくさん話をすることが求められます。ゼミでもGLCクラスが混ざったりするため、常に英語が身近な環境となります。数学・理科・国語などは日本語で学びますが、英語・社会・美術・デザインなどは英語で学習します。日本の中等教育の質は高く、特に理数は高いため、指導言語を日本語にしています。

 

―どんな生徒に入学してほしいですか?

本校を面白そうだなと思ってくれることが一番です。こんなことをしてみたいな、もし今は意見がなくても、いずれこんなものが作りたい、切り拓いていきたい、考えたい、と少しでも考えているお子さんが向いていると思います。行事も生徒たちが考えていくスタンスとなっているので、いずれそのようなことがしたいなと思っていれば十分です。今は意見を持っていなくても、シャイでも心の中で何かやりたいと思っている子があっているように思います。

 

―最後にお伺いします。この中で生徒たちの2つのスキルを伸ばしたいと思ったら何ですか。【①英語力②学力③課題解決力④マルチリンガル⑤海外大進学(志向)⑥主体性/当事者意識】

「主体性/当事者意識」が一番です。次は、「課題解決力」、興味を持つことです。この2つさえあれば、英語力を身につけるとか、海外大学に進学することなど、後からついてくると思っています。この2つのマインドセットは、根本にある行動の指針になるものだから大切です。自分事として物事を考えられれば、そのために何が必要かを考えられるようになります。自分で学ぶようになり、自ら学習するようになるはずです、そういった根本が重要だと考えています。

 

取材日/2022年8月1日

対談者/開智日本橋学園:校長代理・国際バカロレア教育主任 近藤健志 先生

取材・構成・文/神戸鉄郎松田裕見Edu.tor編集部

編集/小川のぞみEdu.tor編集部

 

編集後記(神戸)
女子校である日本橋女学館という学校から、共学校へと変わった開智日本橋学園
東京都中央区にあり、JR総武線・都営浅草線「浅草橋駅」やJR総武線快速「馬喰町駅」などの複数の駅から登下校ができる交通至便の立地にあります。

近藤先生がじっくり言葉を選びながら、お話されていたのが印象的でした。
先生自身が帰国子女であった経験から、日本に帰国された子どものことや保護者のことを理解されています。
進路に関しては、国内外の大学への進学が可能です。
インタビューにもあったように、指導していた先生がきっかけで、帰国生ではない生徒さんがオーストラリアの大学に進学された話は大変興味深く聞かせていただきました。
外国籍の先生や海外経験の長いバイリンガルの先生が約30%配置されている環境下だからこそ、選べる選択肢だと感じました。
国際バカロレア認定校であり、学園の合言葉である「自分で考え、判断し、主体的に行動する」カリキュラムや環境が整っています。
この春に3回目の卒業生を輩出し、開智日本橋学園の生徒の活躍が楽しみです。

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